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株式会社メイジン
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超高層ビルの耐風設計の流れを根本から問い直す─―。東京工芸大学の田村幸雄教授を中心とするグループ(竹中工務店、小堀鐸二研究所、日建設計、日本設計、MAD Tokyo)による「新しい形態を有する超々高層建築物の耐風設計手法に関する研究」が、国際的に注目を集めている。

超高層ビルは高さが200~300mを超えると、地震荷重より風荷重が支配的になることが多い。耐風設計は重要な要素の1つだ。

現在の超高層ビルの耐風設計は、大まかな形態を決め、その形態に対してどんな風荷重が作用するかを分析する方法が主流。田村氏は「風洞実験などによって、それぞれの建物形状に対する安全性を担保する技術は確立されているが、異なる形状同士の比較はされてこなかった。つまり、どんな形状にすれば風荷重による応答が減らせるかといった物差しがない状態。物差しがあれば、設計の初期段階から風に対する応答を組み込んだ検討ができる。超高層ビルの設計の流れが変わる」と、この研究の意義を語る。

初期段階で優れた空力特性の形状を選べば、安全性が上がるほか、制振装置などの数を減らせたりレベルを下げたりできるので、コストダウンにつながる。

30種類の形状を横並びで比較

田村氏らは、基本形状を高さ400m(80階建て)、幅・奥行き50mの正四角柱(図4-1のSquare)とし、高さと建物容積が同じという条件下で、30種類以上の異なる形状の風力特性を比較した。

東京工芸大学の田村幸雄教授らのグループが算出した形状ごとの最大平均転倒モーメント係数。グラフの値が小さいほど優れた風力特性であることを示す。円柱(Circular)は高さや太さ、風の強さなどで値が変動するため参考値(資料:竹中工務店)

 

図中の最大平均転倒モーメント係数は、値が小さいほど優れた空力特性を持つことを意味する。小さい値を示したのが、上に行くほど断面が狭くなる形状(Tapered、Setback)、ねじった形状(Helical)、風穴を開けた形状(Cross Opening)だった。転倒モーメント係数が小さかった3タイプは、レベル2(再現期間500年)を対象とした安全性評価でも優れた特性を示した。

田村氏らは、HelicalとCross Openingを組み合わせ、パレスホテル東京(東京都千代田区)の敷地を想定して、高さ400mの架空の超高層ビルを設計した(図4-2)。

東京工芸大学の田村幸雄教授らのグループが研究の一環として計画した高さ400mの架空のビル。敷地は東京都千代田区。ねじった形状と、風穴を開けた形状を組み合わせた(資料:MAD Tokyo)

 

竹中工務店は風洞実験で確かめた風力特性を、流体解析(CFD)を使ってさらに分析している(図4-3)。同社技術研究所エコエンジニアリング部門の田中英之研究主任は「風洞実験だけだと、『なぜ優れた値になったのか』までは分からない。CFDで解析が進めば、より実設計に生かせるデータが得られる」と話す。

竹中工務店がシミュレーションした、基本形状とねじった形状の比較。基本形状には大きな渦が全断面に発生しているが、ねじった形状では渦が小さく、高さによって渦の発生のタイミングにずれが生じる(資料:竹中工務店)

 

同研究は当初、08年~09年度の国土交通省の建設技術研究開発助成制度の援助を受けて進め、10年度~12年度は科学技術振興機構の戦略的国際科学技術協力推進事業として、中国の同済大学、北京交通大学との共同研究に発展した経緯がある。田村氏は「中国側は非常に興味を示している。超高層ビルが年間に1000棟以上計画されているという中国では、こうした研究や制振技術などのニーズが高い。ぜひ日本の耐風設計技術を海外で生かしてほしい」と話す。

 

日経アーキテクチュア

 

 

 

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